スタッフインタビュー

DIGITAL CONVENTION BOUT VIRTUAL WORLD

ごく近未来に起ころうとしていること、
想像可能な未来。
だけど想像もつかない世界。
『ソウルハッカーズ』で新境地を開いた制作者の
そのイマジネーションの源泉を探る。

取材・構成・文/飯田真佐史

問題提起したかった

―― 唐突ですが今作を作る際、テーマになったことをお聞かせください。

岡田 前作の『デビルサマナー』を出した後にユーザーの反応がよかったんで、すぐに、これはもう次いこう、という感じで立ち上げたんですよ。

最初はキョウジ(前作の主人公)とレイ・レイホゥのキャラクターを立たせようってことだけ構想にあったんだけど、それじゃあまりにもそのまますぎるなあ、と。しかもユーザーもそれを期待してるんだろうなっていう……。

―― 逆に裏切っちゃおう、と。

岡田 前作を出したあたり(1995年末)からインターネットがさかんになってきてましたよね。「Windows95」が発売されてブームになってて、インターネットのイの字も知らないオヤジもパソコンを買いあさってたのがテレビのニュースになってた。

これ面白いな、っていうかこんなんでいいわけないのにな、と思ったんですよ。で、このへんのネタはちょっと面白いな、と。ちょうどビル・ゲイツも、将来インターネットは完全に普及して、次なるステップが…‥みたいなのもいい出してましたから。おいおいちょっと待てよ、と。

―― コンピュータ社会を肯定するというよりはむしろ、否定とはいわないんだけれども、もっと自分の頭で考えてみようよという発想があったわけですか?

岡田 そうだよね、自分の頭で、っていうか、日本のさまざまな社会的現象は、大袈裟にいっちゃうと「右ヘならえ」的に決められていることって多いですよね。みんな同じことやってると危険なんじゃないの? と問題提起したかったんですよ。

金子 そのテーマをそのまま表現すると、ネタ的に使い古されたようなつくりになっちゃう危険陸があったから…‥すごく難しかったんですよね。そういうテーマをもったなかでゲームを作っていくってことは。

―― 映画や小説の題材にもネットのなかに入っちゃって、みたいなのはありますからね。

金子 そういうのもすでにあるし、管理社会モノへ持ってっちゃうってアプローチもちょっと古いし…‥。そういう試行錯誤のなかで、ゲームの作りとしては“危機”っていうものに対して皮肉っていこうかな、っていうのは自分のなかでは結構ありましたね。今もゲームのテーマは、プレイヤー各自で考えてほしい、なんて思ったりしてますけど。

「インディアン嘘つかない」は本当

岡田 管理社会の危機がテーマだからといって、ネットだ、コンピュータだってそればっかりやっちゃってると面白くない。コンビュータじゃないものを対抗的に見せたい、そんなとき、金子から、モンスターとの絡みとかで、ネイティブアメリカン系をもう一方のテーマにしたい、って提案があったんです。じゃあそれを上手く融合させよう、と考えて、今作の企画が走り出したんですよ。

金子 インディアン好きだったんですよ、この時期。

岡田 マイブーム(笑)。

―― ちょうど1年ぐらい前が?

金子 そうですね。昔のアメリカ映画を観てると、インディアンがよく出てきますよね。僕は、彼に日本の忍者みたいなカッコよさを感じたんです。「困ったらインディアンに聞け」ってセリフがあるんですけど、それに言いようのない魅力を感じてたんですね、磯貝とふたりで。

礒貝 金子さんから「マ二卜ゥってのがあるんだけど」っていう形で話が来たんですよ。

―― マニトゥの本来の意味は? 映画のタイトルで聞いたことはあるんですけど。

礒貝 要は、どこにでもいる精霊みたいなものらしいんですよ、正しくは。キリスト教でも三位一体の神で、父なる神、子なる神、楕霊なる神って出てくるんです。インディアンには、どこにでも神様はいますよっていう“教え”があって、そういった教え自体を本当はマニ卜ゥっていうらしんですけど。

金子 僕がもっているライターにも、このコーヒーカップにもマニトゥはいるし、全てに魂は宿っているんだよっていう考えかた……。

磯貝 そんな考えが基本にあって、でも部族間によっていろいろ神話に違いがあるみたいで。僕らが使わせてもらった神話に、マニトゥが人の形をとって、日本の民話に出てくる神様みたいに人間の世界にちょっかいを出す、っていうパターンがあったんです。そういうのもありかなって、ね。何でもありの神様だったから、どう料理してもいいのかな、っていう意味ではやりやすい部分はありましたね。

―― だから、今回のレッドマンはそういう役割(ゲームの終盤で判明する)だった……。

金子 じつはね、彼はインディアンの救世主なんです。白い兄っていうマヤ文明なんかに伝わっていた救世主伝説があるんですよ。それを彼らはホワイトマンっていったり、また白人のことをそう呼んだりもする。対してインディアンに伝わっていたのは、彼らは肌色が“レッド”なんだからってレッドマンっていったりする……だよね?

礒貝 そうですね。要は比べるときに、俺達はレッドマンで白人はホワイトマンって。

金子 そう、それで今回はレッドマンという言葉を象徴的に使ったんですよ。

―― ネミッサという言葉もその伝承にあったんですか、マニトゥのアンチテーゼとして。

礒貝 アンチテーゼというより、確認した神話では、マニ卜ゥの妹として登易しますね。でも、あんまりメジャーな話ではないんですけど。

―― ただ単に人の名前なんですか?

金子 人ではなく、神様の名前です。だけど女の子っぽい。女の子っぼい名前で面白いねってことで登場させることにしました。で、狂言回し的な、トリックスターみたいな精霊もその神話のなかに出てくるんですけど、それがスプーキーっていうやつで。向こうでいえばゴーストとかそういう意味だったりするんですけど。それをハッカーチームの名前につけて……まんベんなく散りばめてはあるんですけど。そのへんのネタが。

―― そういう話を聞くと、本当にインディアンの神話が今作のベースにあるって痛感します。かなり研究したんですね。

金子 僕としては、このゲームのユーザーみんなにも勉強して欲しいんですけどね、インディアンの生きかたを本当に感心したよね。

礒貝 感心しましたよ「インディアン嘘つかない」、そんなの嘘だろって20数年間思ってましたけど、ほんとに嘘つかないらしんですよ。

金子 学ぱなくてはならないことがいっぱいあるな、と思いましたね。

礒貝 インディアンの死に対する考えかたっていうのは、結構独特なんです。ゲームオーバー時のセリフにも使わせてもらったんですけど、“死”っていうものはないんだよって。自分がマニトゥから命をもらって、それがまたマ二卜ゥに戻って……輪廻転生の思想があるみたいなんです。

天海市は必然

―― 物語の舞台になった天海市なんですが、モデルとなった街はない、ということなんですけど、“街作り”の発想のヒントは?

金子 前作に対比してってのが、今回は強かったですね。前回太平洋側で逆に日本海側のイメージで……。

―― それぞれの地区のもつイメージも、前作との対比で考えられた、と。

金子 いろいろ地区別にモデルをシミュレートしてみましたよ。ここは工業地区だし、ここは商業地区っていう感じで。

岡田 最初の構想より街がどんどん大きくなったよね。もっと小さいイメージだったのに。

金子 マップ担当者含め、いろいろ考えましたね。天海市の解釈だとか、交通綱においても、新交通システムに対して歩道のありかただとか……。

―― 二上門なんかはそうですね。車道と歩道が立体的にあって近未来的な感じがします。

岡田 時代設定が先過ぎて現実感がなくなるのはやだなあ、と。ほんとに数年……2、3年先のイメージなんです。

―― で、そこになぜテイアマ卜とアプスなんですか?

礒貝 『サマナー』系の世界感は、超古代文明の人々が考えていた“神が世界統一的に中心に存在する”という思想を採用してるんてす。

金子 天海市も平崎市(前作の舞台)同様、いい土地だったんでしよう。

岡田 天海市は必然的なわけだよね。あそこに絶対マ二トゥを置かなくちゃいけない宿命だったんで……。

GUMP流れでつながってる

―― パラダイムXには素朴な疑問があるんですけど。遊ぶ側は、3Dゲームをプレーする際に、画面のなかには自分の想像力頼みで入り込むんです。でも、パラダイムXをやってる人がモニターを見てやってるという設定だとしたら、そんなに誰もが入り込めるものなのかな、って。ヒ卜ミが最初に「わあ」って見まわしますよね、見回せんのか?と。ここにも道があるから行こうよ、っていいますよね。道があるから行こうといって行けるのか?って。

金子 3Dゲームに慣れ親しんでいる人だと、そういう風に不満に思うかもしれないですけど……。

―― 話の途中から、魂を抜き取られる過程で人々がぽうっとパラダイムXに入っちゃうというのはわかるけど、あれは何回も入ることによって少しずつ抜かれていくんですか?

金子 まあ、そうですね。

―― 一回で抜かれるわけではない、と。

岡田 まあ、人によってそれぞれ違うんでしょうね。

金子 ゲームとして、こういう手法を選んだんですけど。本来なら、パラダイムXは、すべての人の五感に満たされるような作りをしてるって詩定なんですよ。だから見た人は必ずはまる……。

―― それは面面で見てるだけで、視覚で?

金子 いえ、直接脳に作用するように多分マニ卜ゥチップの設計から……。

―― 最初、申込者が殺到したって設定ですよね。どうして殺到するんだろうって思ったんです。例えば、埼玉県浦和市がそういう設定になったとして、光ファイバーのケーブルが市中にはりめぐらされて。でも、浦和市民はサッカー見に行くんじゃないかなあって。

金子 逆にいうとじつはサッカー選手とサッカーが出来るぐらいの規模なんでしょうね。

―― 主人公が行った範囲はまだまだ完成前であった、と。VRツアーも結局、強制的に一度入れるだけですからね。

岡田 パラダイムXの絵をどこまで描き込もうか、表現をどうしようかって、最後まで考えていましたね。

金子 やりはじめるとキリがないところなんで、そこでの切りつめかたに気をつかいましたよ。本来なら無限に広がっていいはずの部分ですから…。

岡田 ゲームとしては、フリとしてあれぱいいわけで……あとはゲームに必要な説明のメッセンジャーをおいて。そこでもっと施設なんかも入れようって話もあったんだけど……。

―― 構想を入れすぎるとまとまりがつかなくなる、と。パラダイムXに関しては、そういう予備知識があると、納得がいきますね。では、ヴィジョンク工ス卜のアイディアは、どういう考えをベースにオム二バスの世界を作ったんですか?

金子 普通オムニバスっていうとひとつのテーマに対して複数の視点から見た複数の独立した話なんです。ゲームに盛り込むうえでの話をするうちに、様々な視点から見ることで、ひとつの世界観を構築するのに役立てよう、っていう考えになっていきました。

岡田 今までは、プレイヤー=主人公って部分にこだわってきました。だけど今回はその視点だけじゃわからないところも設定として作り込んである。だから主人公視点じゃないものでわかってもらおう、と。最初の頃は、デモ画面で見せるだけにしちゃおうかって話もあったんですよ。

金子 はじめは、完全に別の話が3つパッケージされてる、って感じだったんですけど。GUMPを通じて3つの話があって3つのサマナーの話があって……。GUMP流れで全部つながってるとかってのもいいよね、なんて盛り上がったりしてたのが、こういう風にまとまったということですね。

岡田 主人公がなぜサマナーになるのか、という謎解き、天海市が何でこうなったかっていう部分の設定、とピックアップしていったわけです。サマナーの遺志を受け継ぐって意味も同時にもたせながら。

―― そのあたり、一見わかりづらいんですが、プレーしていく過程で見えてくるんですよね。今回、そういうフリもストレートだし、今までの作品で存在した、いい意味で無駄な部分、クリアには直構関係ないものをかなり削ぎ落として、贅肉がないシンプルな形でスタートからエンディングまで結構ダーっと盛り上げていってますよね。

岡田 流れ的にはそうですよね。最初から意図してました。

―― 『サマナー』シリーズのコンセプトはストレートさ、と見たらいいんですね?

礒貝 話の運びかたとしては次に何をやったらいいかわからない状態を極カなくそうという、ということで作りましたから。

金子 テンポよく行けば盛り上がるかな、と。

バランスとりは徹底的に行ないました

―― 今までのシリーズは、最終ボスを倒すには決まった魔法・特技を持った悪魔じゃないとダメみたいなのがあった。今作は、好みでどんな悪魔でもいい。

金子 そうですね。自分の好きな攻撃のしかたで、隊列を組み直して、っていう……。

―― そのへんの融通はすごく効いてるなあ、と思うんですよね。

岡田 でも効率のいい戦闘をするにはこうするほうがいいっていうのはありますね。そういう意味では、ボスのメリハリっていうか特徴づけはできたかなあ。

―― 意図的にカジャ系持ってる悪魔を増やしてません? それに継承のしやすさ。

岡田 継承はしやすくなってます。継承方法自体がわからないっていう意見もあったんで。

礒貝 システム的な話になりますけど、前作では、合体後のタイプに合った時に前の悪魔の魔法を継承するって方法。今作はこのタイプだったらこれを覚えるって感じで、わかりやすくしようということで、そういう風に反映させてます。あと、COMP合体のときはどうしようっていうのがスタッフ内であって……。

―― COMP合体では継承をしないと。

礒貝 そう、COMP合体で継承できると誰も業魔殿に行かなくなるっていう話があったんで。

―― 3身合体じゃないと行かなくなっちゃう、と。魔晶変化も業魔殿専用ですね。魔晶といえば、僕はカドゥケウスを最後まで使ってました。ネミッサが力9しかないのに、攻撃力200越えてるよ、ってね。

礒貝 序盤からあんまり強いの、もたせすぎちゃうと、最後まで使えて面白くないんで、力が15以上ないと装備できないというようなパラメータチェックのアイテムとかも復活させてるんですよ。

―― 今までのシリーズに比ベると、ゲームバランスにかなり気を使ってますよね。

岡田 バランスとりに時間をかけるっていうのは一番最初からいってたことなので。プログラムとデータのフィックスはずいぶん早くから終わらせてて、あとはバランス。紙上でシミュレートしてたのをより徹底的に行ないました。

礒貝 シナリオ面でも、データの作成時、戦闘システム側の要請を優先、というような通常とは逆の制作行程を経たりもしましたから。

―― 忠誠度も前回に比べて圧倒的に上がりやすくなってるし、性格分けが簡略化されているし。忠誠度上げに何をすれぱいいかもゲーム内にガンガン説明されてますよね。

岡田 前作は悪魔に性格づけをするんだってコンセプトが強すぎちゃって……やっぱシンプルにしないと、わかりにくくなっちゃったのかな、と。でも今回も性格づけを残したいっていうのはあったんで、ヴァイスシステムのヴァージョンアップ的な部分で…‥。

―― 忠誠度を上げる物品にしたってヒ口えもんがあれは結構拾えるじゃないですか。

岡田 基本的に悪魔がアイテムを落とす確率が上がってるからですよ。ヒ口えもんの効果が絶大というわけではないと思いますけど。

―― 拾った時に光りますからね。オレのおかげだぞ、て言うくらい。

礒貝 プレー中にそのへんはアピールしていかなきゃわかんないだろうってのがあって。

金子 そういう演出であるほうが面白いよね。

―― 今回とくに親切だと思えるのが、インストールソフトの存在なんですよ。

礒貝 ソフトのうち何がお勧めってか、って聞かれるんですけど、バックアッバーだとか、マップ関連がお勧めだって普通はいうんです。でもスタッフ内では、ギボ・アイズかなりお勧めなんですよ。

金子 名前的にもね(笑)。インストールソフトでいろいろ遊ベるんですよ。ゲームの遊びかたが多様化するんです。

―― 僕も一回目のプレーではバックアッバーを付けてたんですよ。だけど、2回目はもうセーブ位置も分かってることだし、外してました。使ったのは天海フロー卜でフイネガンと戦う時だけだったかな。

岡田 バックアッバーは、一番最後に導入したインストールソフトで、はじめはなかったんですよ。

―― なるほどね。でもあれはすごくいいですよね。時間のない人には。

おかまじゃなきゃ嫌だったんですよ

―― 今度はキャラクターについてお聞かせ願います。前作から3年経ってるってことになってるんですが、スケロクは前の葛葉キョウジとは違うんですか?

金子 要するにタカシに乗り移った方のキョウジが新たな体をどっかで入手しで……。

岡田 それまで、転々としてたわけですよ。

金子 『ヒドゥン』(人の体に入り込んで意志さえ左右する宇宙生命体をモチーフにした映画)みたいな感じでね。

―― それでスケ口クという男に乗り移ったと。なぜスケロクなんですか? 歌舞伎が好きなんですか?

金子 僕のイメージではああいう格好にしたらいいんじゃないかって思ったんですけど。

岡田 影で動いてるやつが、なんであんな格好を(笑)。

金子 正直言いますと、歌舞伎のキャラクターの“助六”っていうのが、曽我五郎だったり、演目“外郎売り”も実は曽我五郎が仇を探すためにとか、演目によって同じキャラクターが形を変えて出てくるんですよ。そういうところが、キョウジっぽいかな、というのがあったんで。スケロク好きだレ……。

岡田 僕はフィネガン気に入っちゃったんだけど。いい体してるし(笑)。

―― フィネガンはどういう発想から?

金子 フィネガンは、第三世界の麻薬の王みたいな感じだったんですけど、モロそのままなイメージが意外としっくりこなくて、今の絵に変えたんです。メリケンサック型COMPですとかね、実はボクサーだったとか、そういう風にしちゃいました。

―― レティキュリアンがおかま口調なのは、金子さんに思い入れがあったんですか?

金子 おかまじゃなきゃ嫌だったんですよ。なんでかっていうと難しいんですけど。彼らはユニットだから、あんまり個人の主張もしてないところが、ハッカーっぽい、かなあ。あと、レティキュリアンは琴座のことですね。琴座のゼータ1、ゼータ2って星にグレイとリ卜ルグレイがいて……宇宙人なんですけど(笑)。そのへん詳しい方だとね、わかっていただける……。

―― わかってニヤっとできると。

金子 絵を描くときは、そこまで研究しなきゃ駄目ですよね。キャラクターの気持ちになって。ネミッサがヒール高いのはいてるんで、自分も高いのはいてるんですけど。

―― 歩きづらいことがわかった、と。

金子 ネミッサも大変なんだなっていう気持ちが、ね。ま自分には、悪魔っ子ネミッサが一番好きなキャラクターかな。

―― ネミッサのコスプレをして銀髪にする女の子、いるんでしようね。

金子 してくるといいですけどね。で、ネミッサはいいんですけど、逆にヒトミを地味っぽくしながらキャラクターを立てなきやいけない、というところで悩みましたね。最初、自分がやるキャラっぽくないね、とかスタッフに突っ込まれましたよ。

―― ヴィク卜ルもいい味出してますよね。

金子 今回、若いスタッフ連中のアイディアがいい形になってますよ。業魔殿を船にするアイデアも若い連中からですからね。

―― 「業魔殿にヨーソロー」にΓそうか行くのかボンボヤージ」も?

金子 最初は2身合体取り舵一杯、3身合体面舵一杯だとかいってたんですよ(笑)。でもそれはあんまりだ、ってことで止めたんです。

礒貝 ヨーソローもやめようっていってたんだけど、スタッフの問からやめるの? さみしいね、という声がちらほらあって……。

金子 ビク卜ルもあんな面があって、今回メイドなんてキャラクターも出てきますしね。

―― メイドのメアリがどんどん意識を持っていくみたいな。あれはもうひとつの造魔みたいなものなんですか?

金子 いろんなイメージで考えてもらえるといいですね(笑)。最近でいうと某アニメですか。自分的にはレイちやんは全然意識してないんですけど。

礒貝 パソコンネット上でブレイクしているみたいですよ。メアリが一番人気で。

岡田 ネミッサ抜いてメアリが1位?

礒貝 ダントツで1位です。

金子 ああいうタイプに弱いんでしょうね。

岡田 最初は同じ事しかいわなかったんですけど、どんどん言葉覚えていって……。

―― サンプルバージョンではセリフに変化はありませんでしたよね。

礒貝 あちこちから、しやべらせろ、という強い要請が……。

金子 僕はクールにそのままでいいじゃん、とか思っちゃうんだけど……。若いスタッフの要望に応えてたら、そのほうがいい結果になりましたね。でもね、村正は最初、もっと訳わかんないこといってました。

岡田 ほんとにフランス語しゃベってたんだもん、全編(笑)。

―― フランス語で書いてあったんですか?

金子 カタカナで。

若いパッションが燃えている

―― ほかに若いスタッフの皆さんの声が反映された部分というのは……。

礒貝 インストールソフトもそうですね。これって初心者は初心者の遊びかた、マニアもそれなりの遊びが出来る部分だと思うんですよ。3Dが苦手な人は、マップ表示のソフト使えぱいいっていう。で、それぞれのアイデアの担当がいるわけですよ。それが使いにくいアイデアなら、使えるようにしてやろうって形でバランスが取られたってところもあるんです。最初はヒロえもんとかも表示が出なくてこれじゃわかりにくいって……。

―― 考案者が悲しんだので表示した、と。

金子 このゲームはね、若いパッションが燃えてるわけですよ。

岡田 とにかく、遊びやすいっていう部分ばかり見られるのもどうかな、と思います。本当に深いところもそれなりに作り込んでるので。1回やったらお終い、じゃなくもっともっとプレーしてもらえばスタッフみんなの努力がかくれてますから。

―― そういえば岡田さん、エンディングにいつもながら意味深なメッセージを入れてますね。これを見て私はこれから岡田の兄貴と呼ばせてもらおうと思ったんですけど。

岡田 兄貴、いいですね。これから岡田“兄貴”耕始にしたほうがいいですよ。

―― (笑)オチがついたところで、本日はどうもありがとうございました。

* 現在は、アメリカ先住民の呼称は、ネイティブアメリカンとされるべきでありますが、インタビューの流れとニュアンスの都合により、インディアンと呼称させていただきます。(著者)

回答者について

COZY OKADA

担当/総合ディレクション。

制作上の強調点/いろいろな遊びかたかできるようになっているので、何回でもプレーしてみてください。

好きなキャラクター/ウラベ(サマナーとしての生きかたの葛藤がカッコイイ)。

好きな悪魔/グレイマン(ハデなCGの世界で見事に確立してぃる)。

あなたにとってコンピュータ社会とは?/使いかたによって良くも悪くもなるもの。技術知識の問題たけでなく、役に立つことが必ずしも人間社会にとって良いことではないのでは……。

KAZUMA KANEKO

担当/キャラクター&モンスターデザイン、世界感設定。

制作上の強調点/今回のシナリオや設定は、若手のアイデアが反映されてます。弾けるヤングパワーを見てほしい。

好きなキャラクター/ネミッサ(小魔魔だから)。

好きな悪魔/ビルヴィス(俺に顔が似ているから)。

あなたにとってコンピュータ社会とは?/コンピュータは才能を伸ばしてくれる道具だと思う。ただよい方向ぱかりとは限らず、たまにクリエイティヴだか無秩序だかわからない状熊にもなる。要は使う人次第。我々はまだそこに見合う青神を持ちあわせていないと思うが。

SYOGO ISOGAI

担当/ストーリーイベント、悪魔合体。

制作上の強調点/制作の過程で、担当以外の意見をもらうやりかただったんですが、それをまとめるのが大変でした。でもその分遊びやすく面白いゲームに仕上がったと思います。

好きなキャラクター/レッドマン(教えられることがたくさんあった。デザインとしても好き)。

好きな悪魔/狂神、威霊系ですか。

あなたにとってコンピュータ社会とは?/情報の効率が上がって、すごく便利だと思う。とはいえ、その情報も必要のある人が使えばいいわけで、盲従はしたくない。

以上、デビルサマナー ソウルハッカーズ 公式ガイドブック(ISBN:4893669370)より。